掲載記事  


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button 信濃毎日新聞 99年6月22日 長野総合欄掲載

「新たな社会 誕生の予感」―企業とNPOもっと重なりあえば・・・

  本文より抜粋
企業が社会貢献をPRするようになって久しい。NPOも、企業にコラボレーション(協働)を呼びかけている。両者の接近は、単に企業のもうけの一部をNPOに回すこと以上に、例えば「自分のところだけ良ければ」という事業者理念に変更を迫り、組織の"歯車"とさえいわれた企業人にも市民としての活躍の場を開く、重要な意味を含んでいる。上田小県と諏訪地方では、NPOと企業が重なるような芽生えも見られる。非営利事業や非営利的な発想が、新しい経済や産業システムをも生み出す可能性を秘めている。
(中略)
諏訪―技術を集積製造業「共生」
「NPO的な活動と思っているがベンチャー企業に発展していっても構わない。ただ、中小企業の製造技術が集積した諏訪地方の今後のまちづくりを考え、地域の底上げを願っていることは確か」岡谷市南宮の工作機械商社の専務大橋俊夫さんが熱を込めて語る活動が、「インダストリーウェブ研究会」96年から製造業に役立つ情報をインターネットのホームページやメールで蓄積交換している任意団体だ。ネットでの仕事の受発注の仲立ちや地域外の経営者、研究者を含めた約150人との研究者を含めたメールは2000件以上。製造業の勉強会も開いている。
情報社会の発達した社会では、技術力を持った中小企業製造者がオープンに情報を共有することで共に進化するーと大橋さんは見ている。「ものづくりは本来、社会への表現。競争原理だけではない新しい製造業の仕組みを、技術集積地の諏訪でつくり、波及させたい」と話す。
同研究会に理論的影響を与えている出口弘・京都大助教授=経済システム進化論=はNPOに、市場以外の評価の創出を期待。「ネットの受発注で製造業者をつなぐセンターの周囲に、学校と協力した「物づくり教育支援機関」や技術者OBによる「シルバー物づくり機関」などをNPOを通じて製造業の価値を地域で共有できる可能性も示唆している。




 


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