(略)
パソコンを開くと、メンバーの書込みがあったり、議論がる。テーマは中国脅威論だったり、日本のもの作りの課題だったり、時には、長野県の海外駐在員事務所の活用をめぐる議論だったりする。中国の企業が日本製品をコピーする現状に対しては、こんな調子である。
「もっと怖いのは、中国が自分のところで開発とデザインをはじめることです」
「私は、ちっとも怖いことだとは思いません。新しい中国的なデザインが楽しみだからです」
(中略)
ネットに参加しているのは、諏訪地域や伊那谷などの起業家たち約百五十人。この「諏訪バーチャル工業団地」は、岡谷市の機械工具商社・オオハシ専務、大橋俊夫さん(45)の呼びかけで、96年に発足した。ネットを通じて企業間の結びつきを強めることで、新しい商品の開発や受注につなげていこうというものだ。「仕事に直結する話という以上に、長年の意見交換でお互いの信頼関係を築くことができたことが財産」と、大橋さんは言う。
(中略)
諏訪地域ではいま、岡谷市を中心に企業の各グループ間が頻繁に交流し合いながら、こうしたコラボレーションの動きを強めている。企業グループNIOMの代表で、精密プレスのソーデナガノ社長の早出隆幸さん(54)も、大橋さん、小口さんのグループと連携し、昨年11月、各社が開発に取り組んでいるアイデアを発表し合う画期的な催しを共同で開いた。技術やアイデアを外に出し、新製品を生み出すヒントにしていこうという初の試みである。席上、早出社長はこうあいさつした。「企業や地域の壁を越えて、知恵を出し合うことで、より良い製品作りができていくと思う。現在の苦しい状況を乗り越え、当たらし時代に向けて力をマグマとして蓄え、われわれみんなでいい夢を見ましょう」
(以下、略)
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