1998.12.1.
■製造業の将来?
これからは付加価値が重要なポイントになると説明しましたが、その実例をご紹介します
これからご紹介する例は、日経産業新聞に掲載された記事で、詳細はそちらをご覧ください。
- - - 参考記事 - - - - - - - - - - - - -
1)インターネットでパソコンの製造販売を完結した成功例
(日経産業新聞 1998年10月6日付け 18面に掲載)
インターネットアドレス http://www.idot.com
○要約
[営業員や広告不要]
アイドット・コム社には営業マンがいなければ新聞や雑誌での製品広告もしない。
伝統的な法人営業や店頭販売を一切排除し、電子商取引のみで売り上げる。・・・・
[品質でも競合可能]
アイドット・コム社はオースティンに工場を持つことでデルと同じブランド、
価格の部品を調達できる。製品の価格競争力を左右する部品調達で
いわゆる「オンライン・バーチャル・ウェアハウス」を構築した。
在庫回転率を高め、部品メーカーへの支払いをデルよりも早くすれば、
調達規模が小さくても部品単価を有利に設定できる。・・・・
顧客が入力したパソコンの注文は、人手を一切介さずに工場の生産ラインへ届く。
万が一、間違った仕様が入力されても、人工知能を駆使したソフトが顧客に警告を発し、
生産ラインへの発注からはじき出す。
現在、1500以上のモデルを扱い、90数パーセントの注文を48時間以内に出荷する。・・・・
製品価格は大手競合メーカーより5−15%安く設定しているが、
「売上高利益率が10%程度でも利益が出る体質」を作り上げた。・・・・
[出荷は毎月急拡大]
「技術に詳しいユーザー層が主要顧客だから営業活動は最低限で済む」と考え、
その代わりサービス体制は年中24時間無休にした。・・・・
2)切手オンライン販売へ先陣(米eスタンプ)の例
(日経産業新聞 1998年10月11日付け 12面に掲載)
インターネットアドレス http://www.estamp.com
○要約
[自宅のプリンターで印刷]
利用者はまず同社のホームページに接続し、切手を購入するための口座を開設する。 ・・・・
いくら購入したかはパソコンと市販のプリンターの間に接続した親指大の「金庫」が記録する。
パソコンに宛先の住所を打ち込み、封筒をセットすると、宛先と切手を印刷した封筒の
出来上がりだ。そのままポストに投函できる。「金庫」に切手の残高がなくなれば、
またネット経由で切手を購入すれば良い。・・・・
[事業化のきっかけ]
eスタンプ社の創業者、サリム・カーラ氏は5年前、当時の秘書に郵便局へ切手メーターの
更新に行かせた時に事業のアイデアを思い付いた・・・・
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アイドット・コム社の例は、これからの製造業の方向性を暗示しているような
事業形態だと思いますし、eスタンプ社の例は、アイデア(付加価値)を生かす事業形態ですね。
どちらもインターネットというインフラの上で企業活動する勝ちパターンスタイルが
ポイントになっております。
良く言われる話ですが、日本の情報処理業界はアメリカに比べて2−3年遅れているという
説明をあてはめると、日本でも2−3年後にインターネット上で企業活動する勝ちパターン組が
現れるように思います。
その時の製造業は、PDMシステムがその企業の製品情報をバックエンドでデータベース化し、
ECによる受発注処理や生産管理と連携して稼動しているシステムとなっていると予想しております。
もしかすると、もう既にこのような仕組みを検討し、導入を計画している製造業が、
日本にもたくさんあるかも知れませんね。