96年ワールドエコノムーブ参戦記
95年の第1回に続き、今年もワールドエコノムーブに参戦しました。
レースカーは、昨年のマシンを改造した「スピリット・オブ・スワッコ96」です
本来ならば新車をデビューさせたかったのですが、諸般の事情で完成できませんでした。
期待していただいた皆さん、誠に申し訳ございません。
さて、今年のマシンの最大の改造点は、なんといってもカラーリングである!!!
この真っ赤なカラーリングが会場の注目を浴びていた。
練習走行
5月4日は、車検が始まるまでコースが開放されており、練習走行に費やすことができた。
事前に十分なデータ取りをすることができなかったため、この練習走行の時間を
いかに有効に使うかが我々の大きなポイントである。
ギア比の変更によって、モータの回転が高めに設定されていたのだが、
速度を上げて走行すると、バッテリーの消耗が予想外に速いことが判明した。
また、キャノピーが浮き上がる症状も確認され、急遽対策を取ることになった。
今年はギア固定で望むつもりでいたが、それが裏目に出たため、急いで変速ギアの
セッティングを行なった。
予選走行
11時から12時の間に車検とドライバーの計量が行なわれた。
我々のチームは、大きな問題もなく車検をクリアした。
ドライバーの体重制限のためのウェイトをセッティングし、各部を再点検した我々は、
エントリー順に決定された45番グリッドについた。
昨年は、1周6キロのコースを6周したが、今年の予選では、
なんと4周半でバッテリーが終わってしまった。
練習走行後にギアを変速式に戻したのだが、それでも結果は思わしくない。
どうやらモータ軸ギアと中間ギアの比を変更したことも裏目に出たようだ。
このままでは、昨年並みの記録を出すことさえも危うい。
予選結果は25位であった。昨年の8位と比べると、非常に苦しい展開である。
決勝レース
明けて5月5日は、あいにくの天気となった。 いつ雨が降り出してもおかしくない。
電気自動車の性格上、雨が降るのは大変危険であるため、当初のスケジュールよりも
かなり早い時刻に決勝レースはスタートすることになった。
我々は、決勝に向けて中間ギア設定を昨年の仕様に戻した。
これで、マシンの仕様は昨年と全く同じ物になったはずである。
マシンを25番グリッドに並べ、ドライバーが乗り込む。
メンバーがそれぞれの持ち場につく。
昨日の予選の様子からすると、今年はかなり高速での争いになりそうだ。
しかも、昨年の時差スタートから今年は全車同時スタートに変更されたため、
コース上の順位がそのままの順位となるのだ。(ただし、グリッド位置での距離補正はある)
そして、いよいよ決勝レースがスタートした。
スタートから、上位数台が一気に後続を引き離していく。
25番グリッドからスタートのスピリット・オブ・スワッコ96は、集団の中を走行している。
真っ赤なカラーリングと、フルカウルの前面投影面積の大きさから、かなり遠くからでも
識別ができる。今年は無理にスピードを上げず、効率のよい回転数を保っていく作戦だ。
驚くべきは、上位4台が激しく順位を入れ替えるレース展開である。
ストレートで次々に周回遅れを量産していくそのハイスピードな展開は、
非常にスリリングでエキサイティングなものであった。
我らのスピリット・オブ・スワッコ96は、速度的には中位グループ並みであるが
安定したペースで走行を続けている。
1時間を過ぎたあたりから、停止する車が出始め、各車のペースにもかなり差が出てきた。
トップグループは、若干その間隔を広げたが、相変わらずのハイペースである。
かなり多くの車がストップしたレース終盤、スピリット・オブ・スワッコ96のペースが
落ちはじめた。昨年よりも早い段階でのペースダウンだ。
予選で止まった折り返し地点を何とか過ぎ、歩くような速度で復路のストレートを登っていく。
何とか5周はクリアしたい。ゆっくり走るマシンのまわりにチームメンバーが駆けつける。
マシンが止まる。
この大きなコーナーを曲がりきれば、コントロールラインまでは下りになる。
あともう少し走れば、5周目に入れるのだ。
しばらく停止してバッテリーを回復させ、再び走りはじめたスピリット・オブ・スワッコ96は、
コーナーを曲がりきって下りに入った。後は惰性を利用して距離を稼ぐ。
残り時間は1分を切った。コントロールラインを通過し、5周目に入って100mほど
走ったところで、時間切れとなり、オフィシャルが各車を停止させた。
しばらくして決勝レースの暫定結果が発表された。
スピリット・オブ・スワッコ96は、予選結果と同じく25位であった。
もしも昨年並の距離を走ることができていたなら、10位台に入れたのだが、
これもまたレースというものであろう。
レースを終えて
今回のレースは、当初からの予想通りハイスピードバトルであった。
我々のスピリット・オブ・スワッコ96は、重量と前面投影面積の大きさ、そして
データ不足という点で、
トップチームとは大きな差があったようだ。
やはり、もう一度1から車を作り直さなくてはならないだろう。
勝つためのマシンを手にするために、新たな「ものづくり」を始めるのだ。
そして来年こそ、トップを狙っていくつもりである。
最後に、多くの協力をいただいた関係者のみなさまに深くお礼を申し上げます。
(本文・写真:岩田裕二 E-MAIL: webwheel@alles.or.jp)
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